【ハノイ=大西智也】ベトナム統計総局が28日発表した4~6月期の実質成長率は前年同期比で6.71%だった。事前予想を上回る伸びで、米国との貿易戦争が続く中国の代替としてベトナムからの対米輸出が膨らんでいる。中国からの生産移転が相次ぎ、雇用創出に貢献する。個人消費も堅調だ。だが、輸出拡大は対米貿易黒字の増加につながりかねず、トランプ米政権を刺激しそうだ。
1~3月期の6.82%からやや減速したが、米ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の6.61%を上回った。東南アジア主要国の成長率としては最高水準だ。
けん引したのは対米輸出の伸びだ。統計総局から入手できる1~6月期の伸びは前年同期比27%となり、輸出全体を1220億ドル(同7%増)に押し上げた。米国が中国製品に課す制裁関税を避けるため、中国から東南アジアのなかで生産コストが比較的低いベトナムに生産拠点を移す動きが目立ってきた。米中貿易戦争はベトナム経済の追い風になっている。
4~6月の国内総生産(GDP)を分析すると、生産面では主力の製造・加工業の付加価値は前年同期比で11%増となった。台湾塑膠工業(台湾プラスチック)系の高炉の鋼材生産量が増えた。出光興産などの製油所もフル生産の状態が続く。
GDPを支出面からみると、7割弱を占める個人消費などの最終消費支出が前年同期より7%増えた。都市部ではマンション販売が値上がりで鈍化し始めたが、中間層の増加を背景にスーパーやコンビニエンスストアの店舗拡大が続いている。
中国に近い北部のハイフォンの実質成長率は18年に16%となった。同市には主力の輸出港がある。18年7月に米国が対中制裁関税の第1弾を発動した貿易戦争の恩恵を受けているとみられる。
対米輸出はさらに増える可能性がある。
従来はハイフォンから製品を小型船でシンガポールや香港に運び、そこで大型船に積み替え、米国にも輸出していた。だが、しゅんせつ工事の結果、5月には米西海岸に直接航海できる大型コンテナ船が寄港できるようになった。「米国への航海期間を1週間程度縮めることができる」(米系物流業者)という。港では複写機、衣服などが船に次々と運び込まれる。
ハイフォンで最大の工業団地「DEEP C」を視察する中国企業の関係者が目立つ。工場移転を検討するためだ。中国からベトナムへの新規投資認可額は1月から6月20日までの累計で16億7600万ドルに達した。前年同期の約5倍だ。
ベトナムは生産拠点として中国の代替となる「チャイナプラス1」の筆頭候補だったが、米中貿易戦争の激化でそれが現実になりつつある。
みずほ総合研究所が4日まとめた報告書は、米中が互いに相手の全製品に25%の制裁関税をかけた場合「ベトナムのGDPを年率で1.2ポイント押し上げる」と指摘する。
ベトナムの対米輸出増加に米政府は神経をとがらせている。対越赤字拡大の懸念に加え、中国が原産地を隠し、ベトナム経由で「迂回輸出」を続けている可能性があるためだ。トランプ大統領は26日「迂回輸出」を取り締まらなければ、ベトナムにも制裁関税を課す可能性を示唆した。ベトナム政府はすでに、税関のスタッフ増員などの対策を打ち出している。
米財務省が5月に公表した半期為替報告書はベトナムを「監視リスト」に加えた。米国の対越赤字の拡大が顕在化してきた場合、米当局はベトナムの為替政策を非難し始める可能性もある。
(出典:https://r.nikkei.com/article/DGXMZO46744460Y9A620C1FF8000?s=3 (2019年6月28日))
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