ベトナム人にとって、テト(ベトナムの正月)は一年間で一番長くて、最も大切な祝祭日です。テトは旧暦に基づいていますので、毎年一定ではなく、日にちが変わりますが大体1月後半から2月半ばまでの間にあり、日本のお正月よりも一ヶ月ほど遅いです。因みに、今年2019年のテトは2月5日に当たります。

ベトナム人にとって、テトは家族が集まり、過ぎゆく歳を振り返り、来る年の事業成功や健康を祈り、いろいろな祝い事をするときです。そして子や孫が年長者に感謝の気持ちを伝える時期でもあります。それらは、家の飾り方や新年の行事を始め、料理にも表れます。正月料理は普段からあるベトナムの食べ物、飲み物だけでなく、東アジア共通の文化も反映しています。

正月料理に見られる統一性や多様性

ベトナムは54民族がいる多民族国家として知られていますので、正月料理もそれぞれの文化的特徴が見られる多様なものとなっています。実にいろいろな料理があり、それに作り方も様々ですが、全ての料理はベトナムの伝統的な文化を保っています。それで、統一性もあり、独特な多様性にも富んでいると言えるでしょう。

ベトナムの北から南へ沿って行くと、大きく分けて北部・中部・南部の3地域でのユニークなお正月料理を見ることができます。北部は煮込んだお肉の煮こごり、茹で鶏肉、ベトナム風ハム、シナモンのハム、バイン・チュン(北部のちまき)、タケノコスープなどがあり、中部は漬物、バイン・テト(南部のちまき)、牛肉のハム、豚肉のヌクマム漬けなどがあり、南部はニガウリの肉詰めスープ、鶏肉のココナッツミルク煮、モヤシの漬物、ラッキョウ、ソーセージなどがあります。こうした多種多様な料理は各地の風土から生まれたものです。

しかしながら、ベトナムの正月料理には統一性も見られます。例えば、緑と赤は富と幸運を象徴する正月の色です。他にも、食卓には4つの季節のシンボルである4つの料理、または「万富」のシンボルである6~8つの料理があるのが一般的です。また、正月料理の統一性は「マムグークア」にも表れています。「マムグークア」とは、五行(木、火、土、金、水、これらが万物の基礎であるという中国からの思想)を表す五種類の果物が載せられている大皿で、各家族で祖先へ捧げられるお供え物です。つまり、ベトナムの正月料理には繁栄、幸運、それに年長者、祖先への感謝や尊敬を子や孫が表すという意味が込められています。

それぞれの地域での特徴

先に説明した通りに多種多様な地域風土に従って、それぞれの地域で正月料理が違います。これから、少し詳しく紹介したいと思います。

北部
1. バインチュン:大昔からの伝統的な粽(ちまき)であり、お正月の食卓に欠かせないものです。バイン・チュンは「大地」の象徴で、柔らかいもち米・甘い緑豆・辛い胡椒・こってりした豚肉を混ぜ合わせたものです。それをラーゾンという緑の葉で正方形に包みますと、「テトの味」ができあがります。
2.太ネギの漬物:テトの2週間くらい前から水と酢、砂糖で漬けた太ネギは、お正月の欠かせない一品です。太ネギの漬物はちょっと辛くて、一般的に、バイン・チュンや豚肉の煮込みなどと一緒に食べます。テトの料理に飽きてしまわないように工夫された料理の一つです。
3.ベトナム風ハム:「家族が幸せになり、万事が順調で、富が一杯に」という意味を持っている料理です。豚の挽き肉を、バナナの葉で包み、茹でたものです。これは単に料理というだけではなくて、お正月の贈り物としても使われます。
4.揚げ春巻き:お正月に不可欠な伝統料理の一つです。外は黄色のライスペーパー、中はひき肉、きくらげ、椎茸、人参、モヤシが入っています。

中部
1.バイン・テト:北部の粽(ちまき)はバイン・チュンですが、南部の粽(ちまき)は「天地の集合」という意味があるバイン・テトです。材料などはバイン・チュンと大体同じですが、包む葉と形が違います。バイン・テトはバナナの葉で包んだ直径10センチほどの丸くて長い筒状のものです。 
2.ミックスされた漬物:大根、人参、胡瓜、パパイヤ、ラッキョウなどのいろいろ材料をミックスして漬けたものです。輪切りにされた柔らかいバイン・テトとちょっと酸っぱい漬物を一緒に食べると、お互いに味を引き立て会い美味しさが倍増します。
3.豚肉のヌクマム漬け:豚肉あるいは牛肉をナンプラーと砂糖で漬け込んだものです。この料理は塩辛いですが甘味もあり、普通はいろいろミックスされた漬物、ラッキョウ、生野菜などと一緒に食べます。
4.酸っぱいエビ:中部の正月料理として欠かせない一品で、フエ省の特産です。エビの甘さ、肉の脂っこさ、タイ生姜と唐辛子の辛さ、スターフルーツの酸っぱさ、イチジクの渋さ、それに様々なハーブのよい香りなどが良く調和しています。一度食べたら一生忘れられない魅力的な料理です。

南部
1.バイン・テト:中部と同じ、南部もバイン・テトがありますが、選ぶ楽しみがあります。と言うのも塩辛いバイン・テトと甘いバイン・テト、という二つの種類があるからです。塩辛いバイン・テトは、中が豆と豚肉に加えて、卵、ソーセージも入っています。また、甘いバイン・テトは、中にバナナ、あずき、緑豆が入っています。
2.鶏肉のココナッツミルク煮:大変人気のある伝統料理であり、お正月にはたくさん作られ、何度も煮込みながら少しずつ 食べていきます。漬物と一緒に食べると、もっと美味しくいただけます。
3.ラッキョウの漬物:南部の人々はよくバイン・テトと一緒に食べます。酸っぱくて甘いラッキョウの漬物をエビと合わせ、砂糖を振りかけて食べるのがオススメです。
4.ニガウリの肉詰めのスープ:普段から食べている料理ですが、お正月に食べるのは、健康を願って験を担ぐ意味もあります。

どんなに忙しくてもどんなに遠くで働いていても、お正月になると、みんな実家に戻って、家族と一緒にお正月を準備し、楽しく新年を迎えます。そして、それぞれの家族が暖かい雰囲気の中で食卓に集まるイメージはいつまでも印象に残ります。機会があれば、ベトナムでお正月を迎えてみてはいかがでしょうか。他では味わえない素敵な経験になりますよ!

 

技能実習生派遣事業に関する相談があったら、ご気軽にお問い合わせください。

-----------------------------------

ベトナムIPM人材株式会社
本社: Vietnam, Ha Noi 市, Cau Giay 区, Duy Tan 通り, 78 号道路, 1 号
日本事業部の所在地:Vietnam, Ha Noi 市, Cau Giay 区, 81 Tran Thai Tong, 5階
電話番号:082.961.8888
ファクス:(+84) 24 3201 2137
Eメール:info@ipmvn.com.vn
ホームページ:www.ipmvn.com.vn
ファンページ:ベトナム IPM 人材株式会社